今回は、日本一売れた「超」ベストセラーである、黒柳徹子の「窓ぎわのトットちゃん」のあらすじと、読書感想文を書く際の例文の紹介です。




この作品は、教育をテーマにしているため、感想文の対象としては、小学校高学年生から、中学生高校生社会人まで幅広く活用いただけます。

「窓ぎわのトットちゃん」のあらすじ動画

YouTube動画の中から優秀な動画をご紹介いたします。4分程度で簡単にあらすじが分かります。



以下の文章は、動画を活字にしたものです。
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今回は、日本で最も売れた本「窓ぎわのトットちゃん」について紹介したいと思います。窓ぎわのトットちゃんは、徹子の部屋でおなじみの黒柳徹子さんが著者で、1981年に講談社から出版されました。日本国内での累計発行部数は800万部以上で、2017年には中国で1000万部を突破し、2021年3月時点で全世界累計発行部数は2371万部を記録しています。黒柳さんは、この本の印税を全額寄付し、社会福祉法人トット基金を設立しています。すごいですね。

トットちゃんとは、黒柳さん自身のことで、窓際とは、出版当時リストラ予備軍のサラリーマンのことを「窓際族」と呼んでいた時期であったため、そしてトットちゃん自身がトモエ学園に移る前に通っていた国立小学校で、チンドン屋さんを呼び込むために授業中窓の所に立っていたことなどから名付けられたものです。おそらくは、はみ出し者的な意味合いも含まれているのでしょう。

~~~あらすじ~~~~~~~~
この本では、主に東京都目黒区自由が丘にかつて存在していたトモエ学園で過ごした小学生時代の数年間の出来事について書かれています。時代は戦争中の1940年代初めで、小学1年生のトットちゃんが最初の小学校を退学させられたお話から始まります。窓際に立ってチンドン屋さんを呼び込んでしまったりして、廊下に立たされます。しかし、なぜ怒られているかわからないので、同じようなことを繰り返してしまう子供です。先生は授業にならないということで退学させてしまいます。そして、お母さんが見つけてきたのがこのトモエ学園です。

学校の教室は校庭に置かれた車輪を外した電車で、全校児童は50人程度です。毎日の教室で座る席は自由で、その日の時間割や科目で学習する順番も自分で決めることができます。分からないところがあれば、先生に聞きに行って一対一で教えてもらうという、当時としても現代としても変わっている、進んでいる、特殊な学校です。この学校でのびのびと過ごすトットちゃんと、学校の独特なイベントがこの本で描かれています。
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この本がなぜそこまで売れたのかというと・・・

一つ目は、当時の黒柳徹子さんの人気が凄かったことです。徹子の部屋、ザ・ベストテン、音楽の広場などに出演し、当時好感度の高い放送タレントランキングで年連続1位を獲得し、人気絶頂でした。そんな中での子供時代の完全ノンフィクションのジレンマは、かなり注目を浴びたのでしょう。

二つ目は、単純に面白い内容だったことです。好奇心旺盛でユニークな行動や発言をする独特の愛らしさを持つトットちゃんというキャラクター自体が魅力的であり、文体も簡単で読みやすいため、児童文学として面白い内容だったことで多くの人が手に取ったというのもあるでしょう。

三つ目は、教育的な分野としても革新的だったことです。トモエ学園には、体にハンディのある子供もいました。1981年の発売当時は、発達障害やADHD、アスペルガー症候群といった言葉がまだ一般的に知られていない時代で、そういう子どもたちを同等に扱ったり、個性を大事にする教育というものがほとんどなかった時代でした。そんな中でのこの本の内容は、とても斬新なものだったのでしょう。

この本は今でも売れ続けており、新たな子育て世代や教育者にも読まれ続けているようです。以上が、日本で最も売れた本「窓ぎわのトットちゃん」の紹介でした。このような本が日本で最も売れた本として君臨していることは、日本人としてもうれしいことですね。

「窓ぎわのトットちゃん」読書感想文の例文

以下の例文を参考に、原稿用紙3枚・4枚・5枚、800字・1200字・2000字以内など、指定された文字数にアレンジしてください。

読書感想文①

「窓ぎわのトットちゃん」を読んで

私が『窓ぎわのトットちゃん』を読んで、トモエ学園に非常に憧れました。電車の学校という概念に驚かされました。自由な教育が行われている学校で、こんな素晴らしい学校が実在するのかと疑問に思いました。トモエ学園は全校生徒が50人ということで、生徒が少なくて驚きました。トモエ学園の小林宗作校長先生は非常に優しいと感じました。トットちゃんの話を4時間も聞いてくれたり、運動会で背が低い子供や体の不自由な子供も優勝できるように配慮していたりと、さまざまな点で優しさが感じられました。

トモエ学園のお弁当には、海のものと山のものが入っているといいます。その意味が分からず読み進めていくと、お弁当に海と山からの食材を何でも良いので入れることが分かりました。これもトモエ学園の特徴だと感じました。

トモエ学園に図書室が来ることになったと本に書かれていましたが、どうやって電車が来るのかとても不思議でした。読んでいくと、普通の電車が線路もない場所で、音もたてずにトラクターに乗ってトモエ学園に来たそうです。それを聞いて驚きました。音楽の時間に、講堂の床に音符を描くシーンを読んで、楽しそうだと思いました。

最後にトモエ学園が焼失したとき、とても残念に思いました。しかし、燃えているトモエ学園を見ながら校長先生が、「おい、今度はどんな学校作ろうか?」と書いてあるのを読んで、学校が焼けたから終わりにせず、新しい学校を建てようという校長先生の気持ちに深く感動しました。

『窓ぎわのトットちゃん』を読んで、トモエ学園のような学校と校長先生に憧れました。一度トモエ学園を訪れてみたかったのですが、もう存在しないのが残念でした。

この本を読めたことは本当に素晴らしい経験でした。『窓ぎわのトットちゃん』を通して、トモエ学園のような自由でユニークな教育環境を持つ学校や、そのような素晴らしい学校を創設した校長先生に心から憧れました。残念ながらトモエ学園はもう存在していないため訪れることはできませんが、その素晴らしい物語を読むことができたことに感謝しています。

読書感想文②

「窓ぎわのトットちゃん」を読んで

「君は、ほんとうはいい子なんだよ」と言い続けたトモエ学園の校長先生は、トットちゃんがどれだけ良い子に成長したか分からないくらいだと思う。

そのころのトットちゃんは、まだ何もかもが珍しくて授業中にチンドン屋を呼んだり、机のフタをたくさん開け閉めしたりして1年生で学校をやめるくらいだから、どんなに知らない子でも自分が悪い子だと思うだろう。

そうすると、トットちゃんのように校長先生に「君はいい子なんだよ。」と言われて「そうです。私はいい子です。」と答える子は、悪いと言われると自分でも「私は悪い子なんだ。」と思い込んでしまうので、次第に悪い子になってしまう。

それにトットちゃんは、本当に悪い子ではない。ただ他の子と違って、素直な子供らしい気持ちがたくさんあるから。それは悪いことではなく、むしろ良いことだ。でもそれがちょっと過ぎているので、普通の人たちはあの子は悪いと決めつける。

でも校長先生がトットちゃんたちのそばにいつもいて、悲しいことやうれしいことなどを感じた時に、すぐ校長先生に知らせて一緒に喜んだり、悲しんだりするという先生と生徒の深いつながりが、私にも伝わってくるような気がした。

そしてちょっと違うけど「友は喜びを二倍にし、悲しみを半分にする。」という言葉を思い出し、友とはトットちゃんたちにとってこの校長先生のことだと思った。このトモエ学園の校長先生が、一人一人の性格を大事にしながらトットちゃんたちを育てたことを書いた本を読み終えた時、私の母は「昔だからこんなことができたのね」と言った。

また、「たくさんの経験をしたから、あんなにすごい人になったのよ。この人は」とも言った。でも今でもできることはあると思う。それは先生が、私たちのそばにいて話し相手になってくれることです。もちろん、先生が構ってくれないわけではありません。

ただ、先生たちが偉いという立場だけでなく、私たちの友、つまりちょっとしたことの相談相手にでもなってくれたらと私は思います。そして、先生と話すという時に、緊張して震えたり、黙ってしまったりする子がいなくなったら、それこそ、いいクラス、いい学校と言えるでしょう。

読書感想文③

「窓ぎわのトットちゃん」を読んで

「君は、本当は、いい子なんだよ。」という言葉は、小林宗作先生がトットちゃんにいつも伝えていたものでした。このトットちゃんは、一年生にも関わらず退学になった子でした。

皆の迷惑になるからという理由で退学になるのは、厳しすぎると思います。しかし、新しいトモエ学園では、前の学校とは正反対で、悪戯をしても親を呼んで怒ることはありませんでした。

トイレでトットちゃんは、用を足した後、下を覗く癖があり、帽子は数えきれないくらい落としていました。今度は財布を落とし、総勢トイレの中を柄杓でかき混ぜて探しました。でも、トットちゃんは真面目だったと思います。他の人だって大切なものがなくなったら、一生懸命探すでしょう。

それに、トットちゃんが飼っているロッキーという犬と「おおかみごっこ」をしていた時、ロッキーは何もわからずトットちゃんの耳をかじり、半分ちぎれかけました。その時、耳を押さえた手も、洋服も、じゅうたんも真っ赤になってしまいましたが、泣かずにロッキーを捨てないよう両親に頼んだのは、普通の子とは違います。

私だったら、耳が痛くて泣き叫ぶでしょう。犬なんか大嫌いだと思うでしょう。でも、トットちゃんは自分の耳よりもロッキーのことを心配するなんて、本当に優しい子だと思いました。このような点では普通の人とは少し違うけれど、他の面ではトットちゃんは私たちと同じことをしていて、悪い子ではありません。

机の蓋を開け閉めするのは、ふざけているわけではなく、一年生になって初めての机を見て嬉しかったからだと思います。財布を探した時も、小林校長先生は戻しておけとしか言いいませんでした。これは、トットちゃんの気持ちをちゃんと理解してあげたからだと思います。

前の学校の先生もトットちゃんのことにもっと理解してあげられたら、退学になることはなかったのに。でも、私はトットちゃんが退学になって良かったと思いました。トモエ学園に来て幸せだったから、これでよかったのだと感じました。トットちゃんが小林先生に出会えなかったら、ひょっとして大人になるにつれ、すさんだ暗い女の子になってしまっていたかもしれません。

私はこの本を読んで、自分を認めてくれる人の大切さがよくわかりました。私も他人と接する時は、少しの出来事だけで「悪い人だ」と決めつけることはしないようにしようと思いました。それは、トットちゃんのように、あまりにも純粋なだけの人かもしれない場合もあると気づいたからです。