「ライ麦畑でつかまえて」はなぜ人気なの? 今回は名作、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」「あらすじ」や、この本を理解するための「注目すべきポイント」の解説です。

また、最後に「ライ麦畑でつかまえて」を読んでの読書感想文も掲載しておりますので、こちらは、中学生や高校生、大学生などに、宿題の参考用として活用していただければと思います。


「ライ麦畑でつかまえて」は1951年に発表された世界で6千万部も読まれている有名な小説です。にもかかわらず多くの人がこの本は結局何が言いたいの?と頭を捻ります。

また、多くの人が「ライ麦畑でつかまえて」は中二病の男の話だといいますが、それが間違いであることも分かるはずです。

野崎孝さんと村上春樹さんの2人の訳者の違いにも触れていますので、「ライ麦畑でつかまえて」に詳しくなりたい方はぜひご覧ください。

「ライ麦畑でつかまえて」あらすじ&注目すべきポイント【動画解説】

以下の動画は「ネタバレ」ですので、結末などを知りたくない方はご注意ください。


「ライ麦畑でつかまえて」と暗殺事件の雑学

この作品を語る場合、世界的な「暗殺事件」のいくつかに、この本が関係しているという恐ろしい噂が存在します。以下の動画ではその辺の内容が上手くまとめられています。


「ライ麦畑でつかまえて」読書感想文の例文

■読書感想文:「ライ麦畑でつかまえて」を読んで

思春期にありがちな「子供の頃の夢と大人の世界の現実との葛藤」そして「そこに立つ若者のどちらにも入りこめない不安定な心情」。そのような、いつの時代にも、どこの世界にも存在する不可避的な悩みを、この作品は、主人公の悩みとして、読者である私に伝えているように思えた。

主人公のホールデンは、自分が出会う「インチキなもの」、「いやらしいもの」に対して、嫌悪感を覚え、侮蔑さえも示す。そしてその価値基準というものは、大人と子供の中立的立場にある彼にとっては、非常に微妙なところにあると思う。

それはいうなれば、精神的な下劣さ不潔さといったものを、感覚的に感じとり、反射的に反発する、という極めて不安定なものだったのではないか、と思う。

常識、道徳という仮面をかぶった大人。ホールデンはその偽善的な仮面を破って彼らの偽善性をあばこうとする。しかし、ある程度は見抜けても、いわゆる。「世渡り術」を十分身につけていない彼が、大人が作り出してきた世界を理解することは出来なかった。そこに彼独自の一つの世界が形成されたのだろう。

「幸運を祈るよ。」この一見何でもない、そして誰もがいいそうな言葉に、ホールデンは「僕なら誰にだっていうもんか」と抵抗を感じている。幸運というものが何であるかもわからずに、また祈りもしないのに、さも相手の事を考えているように口に出す無神経さへの怒り。

考えてみれば、本当にインチキくさい言葉だ。彼のこういう感覚に私は次第に共感を覚えていった。それがインチキな共感でないことを願いつつも・・・。

ホールデンは、子供に対しては、全身的共感を示している。いつだって「参って」しまうのだ。と同時に、精いっぱい大人らしくふるまおうとしたりするように、成熟・大人などに憧れる、というような一面も持っている。

そしてさっきは、「幸運を析る」という言葉に抵抗を感じていた彼が、生きていくためには『お目にかかれてうれしい」と、うれしくもなんともない時でも、言わなければならないとあきらめている。ここには確かに矛盾が認められるが、この矛盾こそ彼の不安定な立場を象徴していると思う。

一方で大人を嫌悪し、また一方で背のびをして大人の世界に入りたがっている。ホールデンの外見的な姿(頭の半分だけが白髪で一杯)は、彼のこの夢と現実との問で模索し、ストレスいっぱいの彼の精神状態を、象徴的に表していると思う。

彼は美意識の人間だ。彼の批判の根底にあるものは好悪の感情だけである。時には、自分の無垢を守るために相手を傷つけてしまうことすらある。そういう彼は、自分の美意識を社会・現実からの要求よりも優先させてしまうため、周囲に「反逆者」として映る。

そのため彼の周囲には、彼の美意識を満たしてくれるもの、彼の内心の構造を理解してくれる人はなかった。ついに彼は、誰も知っている人がいない土地に行って聾唖者のふりをしようと考える。

私は、たまらなくなってしまった。普通、誰が一体そんな事を考えるだろう。しかも、あまりにも消極的すぎる考えではないか、そんな気がした。でもわかる気がした。たぶん彼は、ばからしいインチキな会話がいやになり、自分の世界を維持しておきたかったのだろう。

この作品の題名にもなっている、ホールデンが唯一なりたかった「ライ麦畑のつかまえ役」とは一体何だったのだろう。大人が一人もいなくて、子供が何千人といる、そんなライ麦畑でのつかまえ役。あぶない崖のふちに立って子供をつかまえるつかまえ役。その崖のふちとは、子どもと大人との境であって、子供たちというのは、彼の中の夢ではないかと思う。

つまり、子供の夢がすべて大人の現実に吸収されでしまおうとするのを止める、そんな彼の大人の世界を嫌悪する思いのあらわれではなかったか、と思う。

子供にとっては、大人や現実の世界が、夢を否定し、それを殺そうとする力が強ければ強いほど、それに対する反発力は、大きいものとなっていくだろう。それは、大人の世界を少し垣間見た青年の場合は、更に顕著であるだろうと思う。

社会に対する、そして自分に対するいらだち、その間での葛藤。現代社会において、大学などの上級学校への進学者が圧倒的に多くなっていることは、一層この中途半端な時期を延ばしていると思う。しかし、この時期でしかつかむことの出来ない大切なものも多いだろうと思うのだ。

はっきりとは言えないが、自我を確立していく上でこの時期に自分が感じ取ったことは、そのまま自分自身に反映するのではないかと思う。

この作品は、私の心に大きな波紋を残していった。大人になるとはどういうことなのか。社会、常識って何だろう。そんな事を改めて感じるようになった。ホールデンがまだ掴みきっていないように、私もこれから摸索し続けて、大いに反発して何かを掴んでいきたい、そのように思った。(1975文字)
 

■読書感想文:「ライ麦畑でつかまえて」を読み偶然発見できたこと

僕がJ.D.サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』を選んだ理由は、友人からこの本が青春期の葛藤を描いた名作だと勧められたからです。これまであまり本を読んでこなかった僕ですが、この夏休みの読書感想文の宿題を機に、一度挑戦してみようと思いました。ホールデン・コールフィールドという16歳の少年が主人公で、彼の一風変わった冒険と葛藤に引き込まれることになりました。

物語はホールデンがペンシー・プレップという名門寄宿学校から退学させられるところから始まります。彼にとって4つ目の学校での失敗であり、これは彼の内面に大きな葛藤を生じさせます。学校を去る前夜、歴史の先生であるスペンサー先生に別れを告げに行きますが、成績の悪さを責められ、不機嫌になります。このシーンは、ホールデンが自分の失敗と向き合う困難さを象徴しています。

ニューヨークに逃避したホールデンは、様々な人々と出会いますが、その度に喜怒哀楽の感情が交錯します。ナイトクラブでの女性たちとのダンスや、娼婦のサニーとの会話を通じて、彼は一時的に孤独を忘れようとしますが、最終的には深い孤独感に苛まれます。これらの体験は、ホールデンの感情コントロールの欠如と、彼の社会との不適応を如実に表しています。

物語の中で特に印象に残ったのは、ホールデンが妹のフィービーに語る「ライ麦畑で子供たちを捕まえる人」という幻想です。これは、彼が純粋な子供たちを守りたいという強い願望を表現しています。しかし、この幻想は都合のいい考え方であり、現実とはかけ離れたものです。この部分を通じて、僕は現実と理想のギャップについて考えさせられました。

また、ホールデンの旧友カール・ルースとの会話や、アンタリーニ先生との出会いを通じて、彼が生きる上で大切にすべき考え方を学ぶ場面も興味深かったです。ルースは精神科医に会うことを勧め、アンタリーニ先生は人生の目的を見つけるよう助言しますが、ホールデンはそれを真剣に受け止めません。これにより、彼の情報との向き合い方や信頼感の欠如が浮き彫りになります。

この本を通じて、僕は読書の意義についても考えるようになりました。本を読むことは、他人の考え方に耳を傾けることであり、著者の意図やメッセージを理解することで自分の視野を広げることができます。「本を読んで感動した場合、それは感動したのではなく作品を通して、著者に感動させられたという側面も有するのだ」というフレーズを思い出しました。まさに、ホールデンの物語に感動したのは、サリンジャーの巧みな描写と深い洞察によるものでした。

物語の最後に、ホールデンが妹のフィービーと過ごすシーンは心温まるものでした。彼女が回転木馬に乗る姿を見て、ホールデンは初めて心からの幸せを感じます。これは、彼が人として大切なことを再認識し、感謝の気持ちを抱く瞬間です。この本を通じて、僕は家族や友人との絆の大切さを再確認しました。

ホールデンの旅は、精神的な不安と社会に対する不満に満ちたものでしたが、最終的には彼が自己の存在意義を見つける過程を描いています。彼の旅を通じて、僕も自分自身の考え方や生き方を見直す機会を得ました。『ライ麦畑でつかまえて』を読み終えた後、僕は読書の楽しさと大切さを実感し、これからももっと多くの本を読んでいきたいと思います。

この本を読むことで、僕は読書の重要性を再認識し、著者の考え方に耳を傾けることで得られる新しい発見を楽しむようになりました。また、物語の中で描かれる人間関係や社会との関わり方についても多くのことを学びました。読書はただの娯楽ではなく、人生の中で大切にすべき考え方や価値観を見つける手助けとなるものです。

最後に、『ライ麦畑でつかまえて』は僕に多くのことを教えてくれました。ホールデンの葛藤や成長を通じて、僕も自分自身の考え方や生き方を見直す機会を得ました。この本を読み終えた後、僕は読書の楽しさと大切さを実感し、これからももっと多くの本を読んでいきたいと思います。読書を通じて得られる知識や感動は、僕たちの生活を豊かにし、新しい発見や学びをもたらしてくれるものです。これからも多くの本に触れ、様々な視点を学び、自分自身を成長させていきたいと思います。(1759文字)
 

もう、読まないわけにはいかないでしょ!